{{detailCtrl.mainImageIndex + 1}}/6

【新本】かめれおん日記

1,870円

送料についてはこちら

SOLD OUT

俺というものは、俺が考えている程、俺ではない。俺の代りに習(引用者注:本文は旧字体)慣や環境やが行動しているのだ。之に、遺傳とか、人類という生物の一般的(引用者注:本文は旧字体)習性とかいうことを考えると、俺という特殊なものはなくなって了いそうだ。 ── 「かめれおん日記」本書P.59より 他者のみならず自己をも含む対象を冷静に見つめる目線と、漢学由来の美しさと硬質さ、そしてユーモアを見事に共存させた文によって、文学史に名を残す作家、中島敦(1909-1942)。 本書は、灯光舎「本のともしび」シリーズ第三作目。 以下の短編小説を三編と、著者の妹である折原澄子氏のエッセイ一編を収めた短編作品集でございます。 パラオ赴任中に出会った島の女性、マリヤン。彼女の姿や生きかたを、冷静に見つめながらも温かくユーモアの含んだ文でやりとりを紡いだ一編「マリヤン」。 続いて、富める者と仕える者の立場や情況を、連続する不思議な「ある出来事」で皮肉まじりに書いた、寓話のような作品「幸福」。 そして、三作品目は、表題作の「かめれおん日記」。 ある日、生徒から譲り受けた一匹のカメレオンと暮らしていく主人公の教師。それから五日間、他者と対するときの自己を、まるでこの生きものに重ねるようにして疑ってゆく──。 現れる登場人物たちへも透徹した客観的な目線を遣りつつ、自己へも向いてゆく文章に独特なきらめきを感じてならない作品です。 最後に、中島敦の妹である折原澄子氏によって書かれた「兄と私」。 短いながらも妹からの率直な言葉が綴られており、兄・敦の作家でない姿も垣間のぞけるエッセイです。 なお、本文中の漢字は底本にならって、すべて旧字体表記。 当時の文学の味わいをこの部分でも感じることができます。 また、表紙の緑を開くと、見返しのききに現れるのは淡い緑で、遊びはさらに白さを帯びた緑。 もう一枚開くと、黄緑色をした見返しの遊びの裏。 そうして、扉に施されるのは黄。(4,5枚目の写真をご参照) まるで「かめれおん」の特質であるかのような色の変化。本書も同化しているようです。 同シリーズ作品おなじみ、表見返しにある灯光舎のロゴの灯りの部分には、抜き加工。 次の頁である扉の発色豊かな黄色が覗くデザインになっています。(3枚目の写真をご参照) 『山月記』のような広く知られ読まれている作品に遜色なく光る作品たち。 中島敦の変幻の器用さや諧謔。本の持つ装幀の可能性をうかがい知ることのできる「かめれおん」な一冊です。 ************************ 著者:中島敦、折原澄子 撰者:山本善行 装幀:野田和浩 出版社:灯光舎 発行年:2021年12月20日 初版 状態:上製本、112頁、新本のため新品

セール中のアイテム