

《猫がゆったりと眠りながら暮らせる国は心が富む国という》
── 「富国強猫」本紙表紙より(本紙の旗印)
猫の文学紙である「月刊ねこ新聞」。
猫について書かれたエッセイや詩歌、猫本の紹介文などがぎっしりと詰まっています。
創刊時には松谷みよ子や吉本隆明。
以降、長田弘、室生朝子、石牟礼道子、町田康、角田光代……と錚々たる文筆家による寄稿がこちらの紙面を彩りました。
今号は2024年1月号。
表紙を飾るのは、版画家・宮本典刀さんによる作品「猫と蝶」。
瑠璃色を帯びて華麗に舞う蝶を、じっと見つめる黒い猫。きらりと緑に光る目線はまるで直観を伴っているようで、蝶そのものよりも、その向こうにある何かに注がれているかのごとくうつります。
あたかも「孤独」を引き取っているようにも──。
と、感じてしまうのは頁下に載った詩、高見順による「僕だけの光」で広がる世界の影響もあるのかもしれません。
猫にもレールにもなれない「僕」が「冬のレールよ黒い猫よ」と呼びかける先には、「僕」という私が歩むべき「レール」が見え始めていたのです──。
4頁の特別寄稿を手がけられたかたはマンガ家・アーティストの近藤聡乃さん。
主人公は、近藤さんになかなか触れてくれない「クレオ」と「ポンズ」という母娘猫のふたり。わずかに接近できるそのときについての描写に、じんわり温かさを感じる一篇です。かわいいイラストも。
ほか、詩人・佐々木幹郎さん、漫画家・ハルノ宵子さんがた、隔月連載が始まったばかりの藤城清治さんによる連載も収録しています。
目次は商品写真2枚目をご参照くださいませ。
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出版社:猫新聞社
発行年:2024年1月12日 初版
状態:タブロイド版、8頁、新品